購入前のアドバイス
入学後に「ランドセルが痛い」とならないランドセルの選び方
ランドセルが痛いという相談
新入生の親からいただいた相談内容です。
学校に通いだしたらランドセルが痛いらしく、背負うのを嫌がります。どうしたらいいですか?
ランドセル購入前に、お店で試着した時は問題なかったので、困惑しています。
この相談内容に対しては、「まずはベルト穴の再調整、それでも駄目ならショルダーパッドを試してみてください」とお伝えしました。
待ちに待ったランドセルだったのに、いざ学校に通い始めたら嫌いになってしまうとは、とても悲しいですね。このような失敗を避ける為の、ランドセル選びをアドバイスさせていただきます。
購入前のアドバイス
肩ベルトの見極めは困難
まずはランドセルの肩ベルト分類を説明します。
ランドセル選びをするうえで、一応知っておいたほうがいい内容ですが、知識を入れたとしても肩ベルトの良し悪しを見極めることは難しいです。この章は読み飛ばしていただいても大丈夫です。
- 立ち上がりによる分類
近年の主流は、立ち上がり肩ベルトです。立ち上がり肩ベルトのメリットは、背中とランドセルの間に余分な隙間ができにくく、体感的に軽く感じるように作られてます。ただ一部のお子さんにとっては、窮屈さを感じるというデメリットも報告されてます。そのことから必ずしも、立ち上がらない肩ベルトが駄目というわけでもありません。 - 形状による分類
S字型に湾曲しているタイプ、直線的なストレートタイプ、その中間位の緩やかなカーブを描いている肩ベルトもあります。一般的には、細身でなで肩だとストレートタイプとの相性が良く、標準体型以上の子には湾曲タイプが合います。 - 背カン連動による分類
左右の肩ベルトが連動して動くタイプは、ランドセルの重心が常に中央に保たれて安定感が出ます。その一方で左右の肩ベルトが別々に動くタイプだと、体型や体の動きに合わせてフィットします。全く異なる仕様ですが、それぞれにメリットがあり、その裏返しがデメリットになります。 - クッションによる分類
肩ベルトの内側にあるクッション機能は、メーカーにより様々です。素材だけでも、低反発・ハイクッション・αGELなど、色々あります。それだけでなくクッション材の配置位置やボリュームによっても、背負い心地は変わります。 - ベルト幅や裁断方法による分類
肩ベルトの幅を広くしたほうが安定感は出ますが、その分だけ重くなり首に当たる確率も高くなります。立体裁断された肩ベルトは、身体との接地面積が増えて肩への負担を軽減できる一方で、圧迫感を訴える子供もいます。
ベストフィッティングを求めない
ランドセル売り場に行くと「ランドセルフィッター」を名乗る店員さんもいますが、顧客の納得感を演出する為の販売員と考えるのがベターです。
はっきり言って短時間でベストフィットを見極めるのは難しいです。
いくらフィッティングに気を遣っても、小学校入学前後の児童は、1年で身長が6cm前後が伸び、体重も3~4kg増えます。
体格が著しく変わる時期なので、ラン活当時は問題なくても入学後に違和感を発生するリスクは常にあります。
試着の時は重りを入れる
ランドセルを試着する機会がある時は、重りを入れてみるのがおすすめです。
ただお店側が用意している重りは、2Kgであることが多いので、追加の重りを用意しておいたほうが良いです。実際に小学校生活が始まると、2kg(教材分)では全然足りません。
例えば小学生に定番の0.8Lサイズの水筒だと、水筒だけでも1.2kg程度になります。さらに夏になると、2本持ちしないと足りない子も結構いますから。
ランドセルに中身を入ると、ランドセルが下後方へ引っ張られる力が働きます。
ある程度は仕方ないのですが、その時に生じる肩への食い込みや、肩ベルトのフチが首筋に当たり痛いと訴える子もいます。
レンタルして10分以上背負ってみる
慎重を期すなら、ランドセルをレンタルして、自宅で背負ってみることです。レンタル料に3,000円程度かかるところが多いですが、お店に行く交通費+疲労感を考えれば、お安いものです。
お店では数分しか背負えませんが、自宅なら遠慮なく背負えます。実際の通学路を歩いてみるのが一番良いでしょう。突っ立った状態と歩いた感覚は違うし、長い時間背負うことで気が付くこともあります。
まとめ
残念ながらランドセルの重みに耐えられず、首や肩の痛みを訴える子供は一定数います。下記に当てはまる場合は、少し慎重に考えてください。
- 自宅から学校まで遠い子
- 細身&なで肩体型の子
- 成長が遅くて体格が整っていない子
もう既に症状が出ている場合は病院へ行くしかありませんが、ランドセル選びの段階で回避できることもあると考えてます。
ベストチョイスは、購入前にランドセルをレンタルしてみることです。「店頭で試着したから大丈夫」という過信は、思わぬ失敗を招くのでお気を付けください。
その一方で、標準体型で元気な子であれば、それほど神経質になる必要はないということも付け加えておきます。
親がランドセルフィッティングに神経質になり過ぎてしまい、ランドセルを選ぶ楽しみを子供から奪ってしまうのは本末転倒です。
大多数の子供は、カラーとデザインでランドセルを選んでますが、問題は発生していません。